令和4年度「職業実践専門課程等を通じた専修学校の質保証・向上の推進」
(ⅲ)教員研修プログラムの構築
成果目標を達成するための具体的な方法

令和4年度の取組

以下の会議(教員研修プログラム開発委員会、学習評価WG、ICT活用WG)等を通じて、調査、開発、セミナーの準備を行う。

1. 会議(目的、体制、開催回数、役割等)

教員研修プログラム開発委員会

役割 本事業で開発する2種の教員研修プログラム開発に関する方向性の確認および予算執行管理等を担当する。
体制 専門学校代表者4名、学識経験者1名、企業2名
開催回数 4回(6月、9月、12月、2月)

学習評価WG

役割 非認知能力の評価のための「手引き」(プロトタイプ版)および教員研修プログラム(プロトタイプ版)の調査・開発、検証等を担当する。
体制 専門学校代表者4名、学識経験者4名、企業1名
開催回数 6回(6月、8月、10月、12月、1月、2月)

ICT活用WG

役割 アダプティブラーニング教授法(プロトタイプ版)の開発およびその内容習得のための研修プログラム開発、検証等を担当する。
体制 専門学校代表者3名、学識経験者1名、企業2名
開催回数 6回(6月、8月、10月、12月、1月、2月)

2. 非認知能力の評価のための「手引き」および研修プログラム開発、検証の手順等

これまで得られた
知見(抜粋)
  • 専門学校教員の言語化にはいくつかバリエーションがあり、文脈に応じて使い分けられている。それぞれの力の内実には分野特性が反映されている。
  • 教員が能力観をどのようなところから引き出しているかについては、汎用的な能力が先に出発点のイメージの場合もあれば、専門的具体的技術が出発点になっている場合がある。
  • 非認知能力は「汎用性が高いもの」と、専門性の高い「個別性が高いもの」が存在する。社会人として求められる汎用的なコミュニケーション能力と、美容師として求められるより専門的なコミュニケーション能力は異なる。
  • どういった契機から学生の非認知能力を養成しようとしているのかを捉えていくことが重要。実習を通じて個別性の高い非認知能力を身に付けさせるのか、実習を通じても汎用的な非認知能力は身についているか、など、非認知能力の言語化や目標化にあたっての契機を整理することも重要。
  • 非認知能力に関する目標設定における柔軟性に対する視点、業界の求める能力像、人材像を意識化して言語化し教育実践に落とし込んでいくアプローチ、教育対象の有する能力に寄り添いながら能力像や教育像を柔軟に組み替えるアプローチ、の2つがすりあわせされながら教育実践がなされているのではないか。
開発手順等
  1. 令和3年度に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で実施することができなかった「手引き」「教材」プロトタイプ版の第1次検証を3校程度で開催する。
  2. 検証結果を丁寧に分析・整理し、「手引き」「教材」に反映する。
  3. また、「手引き」「教材」の開発に当たり、3校程度を対象としたアクションリサーチ やワークショップ等を実施し、内容を具体化する。委員2名を派遣し、1校あたり2回合計6回程度実施予定。
  4. 上記a.b.c.の結果を基に「手引き」「教材」を完成する。
  5. 完成した「手引き」「教材」を学習評価WGに参画していない専門学校2校程度を含む4校程度で第2次検証を行う。
  6. 検証結果を「手引き」「教材」に反映させ、研修プログラムの最終版を完成する。

3. アダプティブラーニング教授法習得のための研修プログラム開発手順

これまで得られた
知見(抜粋)
  • アダプティブラーニングが従来の教育の考え方や方法と比較して異なっていること、高い成果をあげていることを教員や関係者が理解・納得することが求められる。具体的には、「学生・生徒の幅広い多様性や就職先業界動向から、受け身から主体的な個別最適的な学習スタイルが求められてきていること」等。
  • 対象に合わせた能力開発、興味開発に資する授業設計スキルを教員が身につけることが求められる。具体的には、「応用行動分析学の考え方から、教育内容を具体的な行動に言語できるスキル」等。
  • 教えることではなく、適切な問い等を投げかけることで学生・生徒の学びを深める、促進させることができるスキルが求められる。具体的には、「認知心理学的なアプローチからのファシリテーションスキル」等。
  • オンライン授業におけるインストラクショナルデザインの実践知識不足という意見もあることから、ICTをいかに授業に組み込んで有効な教育サービスパッケージに仕上げるかを考えて実践できるスキルが求められる。具体的には、「実技指導を、ICTを活用して遠隔で有効に行えるスキル」等。
  • 教員の基礎的なICTリテラシーが求められる。Googleツールの使い方、Officeツールの使い方、簡単な動画編集、SNSの使い方・注意点といった基礎的な内容の理解と学んでみるという姿勢等。
上記知見から
本事業における
アダプティブラーニング
の定義
  • デジタルコンテンツ(教材)とICTツール(コミュニケーション)を活用した学習支援(適切なタイミングで適切な声掛け・アドバイスを行う、学習計画立案)を通じて、学生一人ひとりの学習目標が達成できること。
研修到達目標
  • 授業デザインにデジタルコンテンツを導入し、ICTツールを活用して学習支援を行うことができる者を育成する。
開発手順
  1. 令和3年度に実施した検証の結果を丁寧に分析・整理し、研修プログラムに反映する。 具体的には、以下を対象として詳細に見直す。
    ・カリキュラム、シラバス
    ・事前学習用e-learning(ビデオ) ※動画合計3時間程度(約10分動画を20本想定)
    ・集合研修用テキスト ※ICT分野1冊40ページ程度、コミュニケーション分野1冊 40ページ程度、ケーススタディ4ページ程度
    ・事後学習用教材および評価シート ※各シート(Excel想定)合計で5ページ程度
    ・指導マニュアル ※ICT分野1冊40ページ程度、コミュニケーション分野1冊 40ページ程度、ケーススタディ4ページ程度
  2. 再開発した研修プログラムの検証をオンラインで1回、対面は本WGに参画していない専門学校2校程度を含め4回程度実施する。

4. 成果の取りまとめ等

成果物
  • 非認知能力の評価のための「手引き」
  • 学習評価研修プログラム
  • アダプティブラーニング教授法
  • アダプティブラーニング教授法習得のための研修プログラム
普及方法等
  • 各成果物は冊子および電子データとして取りまとめる。
  • 成果物は、専門学校関係者への配布およびHP、SNSから情報公開する。
  • 令和5年2月に東京にて60名程度の成果報告会を開催する。

事業終了後の方針について

  1. 本事業で開発する教員研修プログラムを継続実施するための組織をつくり、教材のフォローアップおよび継続的に講座を実施し、活用学校数の毎年度の増加を図る。
  2. 本事業で開発する教員研修プログラムおよび教材等はHPにて公開し、全国の専修学校などに対して周知する。

※本事業の取り組みは、本協会ばかりでなく専修学校全体の取組となるよう配慮する。

事業実施における特記事項について

本会は、「教育支援体制整備」事業と「共通的基盤整備推進」事業を別に行うこととしており、事業を同時に行うことにより以下の相乗効果を見込んでいる。

  1. ホームページ作成は、別の事業と合同で作成することにより経費を削減できる。
  2. 成果報告会等は、別の事業と合同で開催することにより経費を削減できる。