令和4年度
当会は、平成29年度から「職業実践専門課程等を通じた専修学校教職員研修プログラム開発及び推進」を文部科学省から受託し、職業実践専門課程のより一層の質保証・向上を目指して、調査ならびにプログラムの開発を実施してきた。それらの調査の過程で専門学校教員に必要な研修を以下の通り抽出し、学修成果の可視化の観点から非認知能力を含む「学習評価研修プログラム」および多様で柔軟な魅力ある教育の提供の観点から「ICT活用研修プログラム」を開発することを目指す。
専門学校に必要な研修
- カリキュラム編成に関する知識
- 学級運営や集団づくりなど効果的な授業を行うためのスキルについて学ぶ
- 学習状況を把握し、適切に評価するための知識やスキルを高める
- 学校運営、学科運営に必要な知識やスキルを学ぶ
- 学校にかかわるステークホルダーとのコミュニケーション・連携・対応方法を学ぶ
- 入学から卒業までの学生生活や学習状況に関する情報を習得・管理し、学生募集や中退学要因の解明、教育の質を保証していくための知識やスキルを学ぶ
- 自校の職員の指導力向上に向けた課題等を把握し、必要な研修を企画設計するための手順や、必要な知識・スキルを学ぶ
上記の調査結果を受け本事業では以下の2つの教員研修プログラムを開発する。
本事業で開発する教員研修
- 職業教育で重要な「非認知能力」を評価するための教員研修プログラム
実践的な職業教育の担い手である専門学校教員には、職業教育を通じて育成される能力について幅広い評価の専門性が求められる。とりわけ専門学校教育を通じて育成される「非認知能力」については、専門分野ごとに求める能力や水準に異なりがあることや、先行して行った研修ニーズ調査においても「学習状況を適切に評価するための知識やスキルを高める」内容を求める声が多かったことから、非認知能力の評価に焦点を当て、評価基準作成のための「手引き」と「教材」を作成する。
- 多様な学習者のニーズや能力に合致した教育をデジタルやネットワーク(ICT)を活用して実行できる教員を育成するための研修プログラム
デジタルコンテンツを活用したアダプティブラーニング教授法の確立と、その方法を習得する研修プログラム開発を目指す。これらは、「デジタルコンテンツ」「アダプティブラーニング」「研修プログラム開発」といった各分野のノウハウの擦り合わせが重要である。そのため、インストラクショナルデザイン分野で最近注目されている“デザインベースドリサーチ”手法を参考にし、実証講座を通して「学習デザイン⇔評価(指標)」のトライアンドエラー、改善を繰り返す。その結果として、学習デザインと評価指標の精緻化を行う。